退職後に再就職をせず年末時点で無職のままの場合、その年の年末調整は受けられなくなりますね。
その場合、確定申告をしなくてはいけないのでしょうか。
確定申告をしないとどうなるのでしょうか。
また、申告する場合、申告に必要な書類、申告方法は、そして申告により、どのくらい還付を受けられるのか、疑問にお答えしていきます。
【もくじ】
確定申告 退職して無職なら対象者になる!?
退職をされて、再就職をしていない方は「確定申告って必要なの?」と考えるかもしれません。
在職中は、会社が年末調整をしてくれていましたが、退職後は自分で確定申告をしなければならないのです。
収入がある人は税金を納める、「納税の義務」がありますね。
ですので、退職後の確定申告は、退職~その年の12月31日迄の間、無収入=「所得税ゼロ」の証明をするためにするともいえるのです。
しかし、無収入なので放置していてもかまわないのでは?と思いがちですが、脱税していないことの証明として正しく申告しましょう。
申告の結果、不足分の納税通知が来るケースは少ないと思われます。
少し詳しく説明しましょう。
◇なぜ確定申告をするのか。
給与所得者は、所得税を毎月の給料やボーナス等から源泉徴収されています。
この源泉徴収は概算で行いますから、徴収されていた所得税の合計額は、納めるべき年税額と同額ではなく、過不足が生じます。
そのため年末調整で過不足額を精算するのです。
しかし、中途退職したまま再就職をしない場合は年末調整を受けられませんから、所得税は納め過ぎのままとなります。
この納め過ぎの所得税は、翌年になってから確定申告をすれば還付を受けられます。
◇いつまで申告できるか期限は?
この申告は、退職した翌年以降、5年以内であれば行うことができます。
その際には、退職した元の勤務先から交付される、給与所得の源泉徴収票(原本)を添付する必要がありますので、申告前に入手しておきましょう。
◇忘れがちなこと!
- 社会保険料控除
例えば、結婚で退職した方が、退職から婚姻届の提出までに間があった場合などでは、退職後に加入の国民年金、国民健康保険の保険料を支払っていますから、これらは社会保険料控除の対象となります。
この場合は、申告により、税金が減ることになりますので、忘れずに申告しましょう。
もちろん、一般の生命保険で利用できる生命保険料控除も申告しましょう。
- 退職金の税金
事前に「退職所得の受給に関する申告書」を提出している場合は、退職金に関する所得税の計算は正確に出来ています。
提出していない場合は、2割の税率で所得税が源泉徴収されていて、これは所得税の払いすぎです。
確定申告をして税金を還付してもらいましょう。
退職して扶養になった場合でも必要?
サラリーマンの妻で、1月1日~12月31日の間、収入が無い場合は、妻は確定申告の義務はなく、夫は年末調整で「配偶者控除」を受けることができて、その分の税金が減ります。
年の途中で結婚退職し、結婚後再就職せずに、夫に「扶養」されている妻は、収入が無いからといって確定申告をしないでいると、それでは妻の所得が確定できず、税額も決定できません。
会社で働いていた間の収入と、結婚~その年の12月31日迄の収入はゼロであることを、翌年に確定申告をすることで、妻の所得と税額が決定し、「配偶者控除」又は「配偶者特別控除」の対象者となるかが決まります。
実は年末調整が終わっていても、夫も改めて、確定申告をするほうがいい場合があります。
それは、妻が「配偶者控除」又は「配偶者特別控除」の対象なのに、年末調整までに、夫から会社への申告と、適用ができていない場合です。
年末調整で手続きがすんでいれば問題ないのですが、できていない場合は、夫は確定申告迄に社内手続きを完了させてください。
そして、改めて確定申告をすれば、確実に税金が戻ってくるので、該当する人には確定申告をおすすめします。
注意!
妻が「配偶者控除」又は「配偶者特別控除」となるには、妻の収入に限度額があり、しかも夫の所得が1,000万円未満であることが条件になります。
「退職して扶養になった場合でも必要?」← 実は、所得税控除では妻は夫の「扶養」の対象ではないのです。
配偶者控除とは?
妻の年収が103万円以下(所得金額は38万円以下)であれば、夫は「配偶者控除」を受けることができます。
- その控除額は?
・一般の控除対象配偶者(70歳未満)所得税38万円、住民税33万円
・老人控除対象配偶者(70歳以上)所得税48万円、住民税38万円
- 配偶者控除を受けるためには?
・夫が年末調整で会社へ提出する書類があります。
「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」
- その控除額は?
・38万円(年収103万円の場合)~3万円(141万円未満)と年収によって変わります。
- 配偶者特別控除を受けるために、夫が年末調整で会社へ提出する書類があります。
「給与所得者の配偶者特別控除申告書」
配偶者特別控除とは?
妻の年収が103万円~141万円未満(所得金額は38万円~76万円未満)であれば、控除を受けられるというものです。
※参考:「扶養控除」とは?
これは扶養控除対象となる親族がいる場合に、一定額の控除が受けられる制度です。
控除額が多ければ多いほど、夫は納税額を抑えることができますね。
※扶養控除に該当する親族の条件としては、以下の要件をすべて満たす必要があります。
- その年の12月31日時点で、16歳以上。
- 6親等以内の血族および3親等内の婚族。(※配偶者は除く)
- 納税者と生計を一にしている。
- 年間合計所得金額が38万円以下。
- 青色申告事業専従者として給与をもらっていない。
- 白色申告事業専従者でない。
退職後の還付はどのくらいあるの?
源泉徴収票を使い、申告で、還付金がどのくらい戻るのか計算ができます。
毎月(1~12月)の天引き額の合計から源泉徴収票(年末調整済み)の源泉徴収税額を引けば還付金の金額になります。
還付金額=(1月~12月の給与明細の所得税額の合計)-(源泉徴収票の源泉徴収税額)
◇確定申告に必要な書類を取り揃えましょう。
- 確定申告申告書(A様式)
- 源泉徴収票(原本)・・・源泉徴収票の名前が旧姓の場合、結婚後の姓の住民票が必要。
- 生命保険料控除や社会保険料の控除証明書、国民健康保険の納付書(領収書)
- 還付の時に振り込んでもらう口座の通帳(結婚後の確定申告は新姓で行うので結婚後の姓の名義のもの)
- 認印
◇実際の申告はネット又は会場かどちらで申告するか、決めましょう。
- PCネット上の、国税庁の確定申告書等作成コーナーで申告する場合の、利用方法が動画で紹介されています。
- 視聴後、画面下の「確定申告書等作成コーナー」をクリックして、リンク先へ移動します。
・受付で整理番号を受け取る。
・申告内容「所得税の確定申告」と係員に伝える。
・必要添付書類(控除証明書など)を係員が確認。
・書類に住所、氏名などを記入し、添付書類をホチキスで止める。
・パソコン画面で申告書類を作成。
(係員に相談しながら入力したい旨申し出れば対応して頂けます。)
・係員の指示に従い、源泉徴収票に記載ある数字を入力。
・入力内容を確認して入力終了(次へ)をクリック。
・所得から差し引かれる金額の欄から該当する項目をクリック。
(例:社会保険料控除や生命保険料控除など)
・保険の控除証明書に記載のある数字を入力。
・社会保険料控除では「選択してください」をクリック
・国民年金や健康保険を選択し支払保険料を入力。
・生命保険料控除の入力の際「旧制度適用の保険」と「新制度保険」があるので注意。
・入力漏れを確認して入力終了(次へ)をクリック
・住所、氏名を入力、1月1日現在の住所で上記と同じにチェックして、還付金の受取方法の欄を入力。
・還付金の受取方法は金融機関名称、支店名、預金種類(普通口座など)口座番号が必要。
・申告内容の確認。
・電子申告書等データーの送信。
・送信票兼送付書等印刷。
・住民税の入力。
・氏名、住所、電話番号、世帯主の氏名と続柄と1月1日時点での住所を確認、入力。
・提出書面と控えの印刷を持って次の受付へ一式提出し、控えを受け取り終了。
まとめ
いかがでしたか。
賢く確定申告をすることで、還付される税金もあります。
忙しい中、時間を都合付けても、還付金が発生するのであれば、手間暇かけて、還付金を頂く事は勉強にもなりますね。
何事も経験です。
ぜひ、ご自身による確定申告に、チャレンジしてくださいね。